名古屋には錦(にしき)という夜の街がある。 ある日、遅くまで飲んでいて仲間と別れた。タクシーを拾うために、大きなとおりに出ようとしたが、ちょいと道を間違えたようだ。 あれここは知らない通りだなあ。しかしなんだか懐かしい感覚もよぎった。昔来たようなお店が並んでいるみたいな・・・デジャブかな? 歩いていくと少しずつ、お店が少なくなってきた。そうは言ってもとてもにぎやかなネオンが続くクラブ街。迷うはずも無くすぐ大通りに・・・でないなあ。なんだかネオンも少なくなって薄暗い。 引き返そうと思ったとき、足元でしくしくと泣く女の子を見つけた。まだ2・3歳のとても可愛い目をした女の子だ。あまりの可愛さに「どうしたの」としゃがんで声をかけた。泣き止んで嬉しそうに「おんぶ」と言った。いいよおんぶしてあげるよ。小さな女の子はすぐに俺の背中に乗っかった。 少し歩けば女の子の名前を呼んでいる人がいるかも。駄目なら交番まで行くしかないかな・・・。 さあどっちのほうか分かる?と女の子に聞いてみた。なかなか答えない。質問を変えて見た「お名前は?」・・・「えっ聞こえないなあ、なんて呼べばいいの」。そのとき突然その女の子がズズーンと重くなった。耳元で「パパー私よ」さらにどーんと重くなり、大人を負ぶっているような重さになった。「まだ名前もつけて貰っていないじゃない」と声が大人の声に変わり、肩口をがっちり掴まれ「20年もまっていたのよーパパーあ」
(2008.8.10[Sun]) |